東京地方裁判所 昭和47年(ワ)3631号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕次に原告主張の弁護士費用に関する損害について案ずるに、一般に権利者が他人の不法行為により自己の権利を侵害されたとき、訴訟を提起する必要上、弁護士に訴訟代理人を委任する場合に、被害者が弁護士に支払うべき諸費用などの失費は、直接に不法行為を原因として生じた損害とは解せられず、加害者が任意に義務を履行しなかつたことによるものである。したがつて、原則として右損害は、不法行為につながりがあるものではあるけれども、相当因果関係の範囲外にある損害と認めるのが相当である。
ところが本件においては、<証拠>を総合すると、被告は、本件土地上に何らの権原がないにもかかわらず、本件油圧シヨベルを所有して右土地を不法に占有しておりながら、原告の数度にわたる本件油圧シヨベル収去、本件土地明渡の要求に対して応ずることなく、結局原告において訴による請求をするのほかない境地に追い込んだあげく、右訴提起に対しても、被告は故意に事をかまえて抗争したものであることが認められるのであり(右認定を左右するに足りる証拠はない)、そうだとすると、被告の右行為に不法行為が成立し、これによつて生じた原告の損害を被告は賠償しなければならない。原告本人尋問の結果によれば、原告が弁護士片桐晴行に本訴の提起追行を委任し、その諸費用として金五万円を支払つたことが認められるから、被告は右損害を賠償すべきである。 (蕪山厳)